実家の片づけをはじめる前に理解しておくべきこと


実家の片づけ、いつか誰かがやってくれるだろうと、どこか人まかせなところありませんか?


実家を継ごうが、そうでなかろうが、いつかはやらなくてはならないのが実家の片づけ。少しでも早めに進めておけばよかったと嘆いても後の祭りです。(←筆者のこと)


親も70代、80代ともなると日々の生活を送るだけで精一杯になり、それまで溜め込んできた物・もの・モノを片付けるのは至難の業。


筆者は、親が健在のうちに今年に入ってようやく実家の片づけを少しずつ開始しました。気が付けば実家はモノであふれています。実家の片付けを開始した理由は、モノがたくさんあることで転倒やケガをすることの防止対策でもあり、いつかは来るであろう実家じまいの負担を少しでも軽減するためです。


そして、片付けても片付けても、捨てても捨てても終わりが見えなかったりすると、だんだん怒りすらわいてくる。


自分のモノぐらい自分でどうにかしてよ、と。親子ゲンカ勃発にもなりかねない心境になります。


でも、高齢の親の世代と、その子どもの世代のモノの価値観ってかなり違うことを理解しておくことは大切かもしれません。


そこで今回は、実家を片付けるにあたり、なぜ親はモノをたくさん所有し片付けないのか、理解しておいたほうが精神衛生上にもよい世代別のモノに対する価値観について書いていきたいと思います。

80代前後はモノのない貧しい時代を過ごしてきた世代

戦中戦後モノのない貧しい時代を過ごしてきたこの世代はモノが捨てられません。モノをたくさん持っていることが豊かという時代 。「もったいない」「まだ使える」という感覚が基本。とりあえずとっておいて、いつの間にか年を重ね気力体力がおちて片付けられなくなります。最近はゴミの出し方も複雑化しているので、調べることすら億劫。よけいに捨てることが出来ません。

60~70代は昭和の高度成長期を築き上げた世代

モノをたくさん作って消費することが幸せな世代。身の回りにモノが多くてもそれほど抵抗感はありません。新しいモノや情報にも敏感。
 

50代前後はバブル世代

日本の高度経済成長期を支えた戦中戦後・団塊世代を親に持つ世代。楽天的で贅沢志向の傾向があり、ブランド意識も強いです。自分が価値があると思ったモノやコトには惜しみなくお金を使います。
一方で、エコにも敏感で、実生活では意外とメリハリのついたモノの持ち方をするといわれています。


40代以下は厳しい不景気時代を育った世代

モノをなるべく持たないシンプルな生活を好むといわれています。ルームシェア、カーシェアのように他の人と何かを共有することに抵抗感がないことも。
所有欲が少なく合理的なので、レンタルの洋服、家具家電、おもちゃ、定額でのサービスの購入なども特徴的。




以上、世代別モノに対する価値観でした。


もちろん、個人差はあります。また、2009年の「断捨離」、2010年の「こんまり」ブーム、2015年には「ミニマリスト」という言葉も登場していますので、これらの価値観に共感し実践していれば、世代にかかわらず、持ち物は少ないでしょう。


各世代の育った時代背景を理解し、なぜモノが増えてしまったのか客観的に理解したうえで実家の片づけを行えば、精神的な疲弊を少しでも和らげられるのではないでしょうか。


筆者は、上記片付けブームに乗っかり、自分なりに実践してきた経緯があります。断捨離の掟のひとつに「人のモノには手を付けない」というものがあるので、高齢の親に対して片付けて欲しいと言葉で伝えることはあっても、勝手に手をつけることはしていませんでした。


しかし、何度言っても片付けてくれない親にしびれを切らし、今年に入り半ば強制的に片付けをはじめたのですが、親の反応は意外に穏やか。少しずつモノが減っていくたびにスッキリ爽快な表情を見せてくれることすらあります。


強制的に片付けられることをイヤがる人もいるかもしれませんが、上記80代前後の特徴になぞらえると捨てることができない世代なので、強制的に少しずつモノを捨てて反応を見ながら片付けを進めるのもアリなのかもしれませんね。